シャープの救世主である戴正呉とは? なぜシャープを再建できたのか? その秘密や過去の経緯や人となりをまとめ
戴正呉 氏といえば今や日本の経済界で知らない人はいないビッグネームだろう。
特にシャープの立て直しは救世主伝説のような印象すらある。
戴正呉 氏のルーツ
同氏が在籍する鴻海は今や電子機器受託生産の最大手だ。
「EMS(電子機器の受託生産)の取り引きを始めた頃は、鴻海はまだ年商が五、六千億円だったと思う。いまではソニーの約四倍で、立場が逆転した。ソニーは業績不振から十年近くも大規模なリストラを続けたが、クビにした大量のエンジニアの受け皿となったのが鴻海だ。だから、鴻海の製品はソニーの社員が作っているのでソニー製品と(品質が)同じだと言ったものです」
こういった経緯もあり、日本のDNAが投入された会社が今度は日本の会社を買ったというわけだ。
しかし、普通は買収に応じる側には経営に対しての危機感があり、
そして、そんな企業を買う側には勝算がある。
戴正呉氏にはどんな勝算があったのだろうか?
戴正呉 氏とはどんな人物か?
台湾出身で、機械系に強いですし、日本語が堪能。
正直このプロフィールだけだと、この方がどんな方かイマイチぴんとこない。
一方、同氏が所属する、鴻海グループの会長 郭台銘氏に関しては色んなエピソードを見ることが出来る。
郭台銘氏自体は仕事バリバリの合理主義者であり、起業家としてのバイタリティに溢れた人物だ。
そんな会長の下で働いてきた戴正呉 氏は、おそらく物事の大局を見る事が出来、周りの流れと同調しながら物事を良い方向へ進める事ができる人物だろう。
実際に戴社長がシャープで社員に語った言葉はシャープの起源に対してのリスペクトと未来に対しての明確なビジョンがある。
この中で経営幹部に期待する事として語った言葉を要約すると
ー チャレンジの姿勢
ー スピードの重視
ー チャンスへの嗅覚
ー 働き方の2面性
ー KPIと時間管理
ー 物事の主導権を持つ
ー 赤字の根絶
となる。
この7つを選んだ所に戴社長のセンスや人となりを見る事ができる。
シンプルに言えば「自ら局面を判断予測し素早く最大限の成果を引き出せるように動く」という事なのだが、それを社員に伝えるためには、言葉を噛み砕く必要がある。
言葉の選び方、伝え方に戴社長の理性と野生を感じる事ができる。
野生を失った? 赤字企業がとる道
オチていく企業の性質
日本企業だからというわけでは無いが、大手ほど理性的で保守的なのはいなめない。
勝算や打算のもとに事業縮小を行うという企業はほぼいないだろうし、本来したくないだろう。
赤字を生み出せば合理化せざるえなくなるのが実情だし、そんな中では大胆な動きはとりづらくなる。
狼性という表現
さきほどの7つの中で、「 狼性を持つこと 」という部分は非常に興味深い。
シャープほどの起業であれば本来、弱者の戦略をとる必要はないのだが、世界経済は今ものすごい勢いで変化をし続けている。
それは末端の消費者の立場であっても感じる事が出来る。
ほんの数年前まで当たり前のように実店舗を利用していたショッピングはかなりの割合でネットショッピングに移行している。
本来ギブアンドテイクで大喜びの運送業界がアマゾンから逃げ出すほどの広がりが日本では広がっている。世界でもだ。
そんな競争の流れは、ハマればデカく昨日まで中規模だった製品やサービス、企業が一気に怪物へと変貌を遂げるのだ。
競争社会を強く生き抜くみたいな力強さだけなく、獲物を狙う狼のような表現は非常にしっくりくるものがある。
シャープが狼になれるのは鴻海による後ろ盾(資金、ネットワーク)があるからとういう側面があるという事はいなめない。
実際に行われた経営を振り返る
リストラ
当初行わないとされたリストラ。
しかし、その言葉に縛られずに大胆にリストラを行った。
大幅なコスト削減と経営のスピード感
これがホンハイ流スピード経営だ!シャープ蘇らせた驚異のコスト削減と販売力の真髄
どんな企業も経営の立て直しに合理化(経費、コストの削減)つきものだが、そのスピード感が半端なかった。
記事あるように、そのスピード感を後押ししたのは
この記事の中で
今は300万円以上の取引をすべて社長の私が決済している。この半年で決済した件数は2000件に及ぶ。「社長がいちいち、そんな細かいことまでチェックするのか」と言われるかもしれないが、ホンハイではそれが当たり前だ。
この部分だろう。
会社の決済は言わば会社の血の流れと同じだ。
その血の流れを直接見る事で戴正呉は誰よりも速く正確なコストダウン方法と会社の細かな問題点を発見できたたのかもしれない。
今後について
東芝のPC事業を買収し、まだまだ意欲を示す側面も